基礎編 1

ぐっすりねんねの、ココがポイント!

赤ちゃんが「ねんね」を頑張るワケ

みなさんこんにちは、ミキサリッドです。
ねんねの面から育児を考える「ねんねのアレコレ」へようこそ!

第一回となる今回は、「ねんねを頑張るワケ」。
育児の中で、私たちがなぜねんねを頑張ることをお勧めするのかを、
改めて整理してみたいと思います。

内容は大きく、以下の3項目です。

  • 様々な影響を及ぼす、子供たちに重要な「ねんね」。
  • 実際に必要とされる、ねんねの時間。
  • 子供たちの輝かしい未来のために。
  • それではさっそく、一つずつ見ていきましょう!

  • 様々な影響を及ぼす、子供たちに重要な「ねんね」。
  • 研究データから見る、「ねんね」と「発達」の密接な関係

    人間が生きていく上で絶対に欠かすことができない行動、その一つが睡眠です。
    この睡眠が人間にとってとても大事なんだ、ということは分かっていても、
    なんだか当たり前すぎて、いまいちピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
    しかし、かなり以前から睡眠と子供たちの発達の関係性は研究され、今もなお盛んに研究されています。
    まずは、そうした研究の結果から、子供たちにとって「ねんね」がどれほど大事なのかについて確認してみましょう!

    (1)学習能力への影響

    学習能力と睡眠についての研究は、かなり以前からされているようです。
    広島県教育委員会が2003年に行った調査では小学5年生で顕著な差が出ており、
    2014年改訂の厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」でも、以下のように明言されています。
    「思春期の睡眠に関する研究では、一定しない睡眠-覚醒リズムおよび就寝時刻や起床時刻が遅いことが、
    学業成績の低さと関係していることが示されている。」
    ※1.広島県教委の研究結果については、現在オンライン上で閲覧できない為、広島県教委にお問い合わせくださいませ。
    ※2.厚生省「健康づくりのための睡眠指針」より、資料内38ページより引用。
    リンクはこちら。(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

    こうした研究、及び類似する結果は世界各国でも報告されており、
    小学生高学年では「夜9時前の就寝で、睡眠時間は8~10時間程度がベスト」となっています。
    (2)ADHD発症リスクの増加

    ADHDは、これまでは遺伝的な要因がほとんどと考えられてきましたが、最新の研究では睡眠、特に入眠時間が大いに関わっている可能性が出てきました。
    名古屋大学医学部付属病院と浜松医科大学の共同研究では、
    ADHD症状の発症リスクについて、入眠時間が遅いほどADHDの発症リスクが高いことが指摘されています。
    さらに、遺伝的リスクが低い子供ほどそのリスク差が顕著であったようです。
    ※引用元はこちらをご参照ください。(名古屋大学附属病院、浜松医科大学の共同研究)
    リンクはこちら。(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

    この研究からも、少なくとも早寝に関しては、
    子供の発達における大きなリスク回避に繋がると考えられます。
    (3)精神面への影響

    大人でも睡眠不足時には気分が下がり、憂鬱な気持ちになりますよね。
    メンタルヘルスの観点でも、やはり子供たちに睡眠は大切なようです。
    2014年改訂の厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針」では、以下のように明言されています。
    「日本人の中学生・高校生を対象にした横断研究では、就寝時刻が遅い者ほど、
    メンタルヘルスの所見を有する割合が多いことが示されている。」
    また、米国睡眠医学会(AASM)からも、2016年6月に発表した「4カ月から18歳までの子供の睡眠時間に関する指針」
    の中で、中高生を中心とした10歳代における睡眠不足は、自傷行為や自殺念慮といったリスクを高めるとの研究結果があると述べています。

    人生の大切な時期にこうした状況に陥ってしまうのは、子供にとっても親にとっても、とても悲しい事です。

  • 実際に必要とされる、ねんねの時間。
  • 意外に長い!?必要な睡眠時間

    私たち成人にとっては、適切な睡眠時間には個人差がある、とよく言われます。
    最もリスクが低い睡眠時間は凡そ7時間程度。
    しかし一方で、まだ身体が成長段階にある子供たちでは、少し事情が違うようです。
    米国睡眠医学会(AASM)の上記の指針の中では、子供に推奨される睡眠時間は以下のように示されています。

    4~12カ月:12~16時間(お昼寝を含む)
    1~2歳:11~14時間(お昼寝を含む)
    3~5歳:10~13時間(お昼寝を含む) ←日本での幼稚園児
    6~12歳:9~12時間 ←日本での小学生
    13~18歳:8~10時間  ←日本での中高生

    成人と比べると、驚くほど睡眠時間が必要なことが分かります。

    それでも、社会生活は幼稚園から始まる。

    幼稚園に入ると、登園時間の関係から、朝いつまでも寝ている訳にもいかなくなります。
    幼稚園バスが8:30頃に迎えに来ると想像してみてください。
    少なくとも7:30頃には起きてもらわないと、準備が間に合わない可能性が出てきます。
    この7:30に起きた時に10時間睡眠がとれているためには、
    少なくとも夜21:30には入眠していなければいけない計算です。
    そして、驚くことにこれが最低値です。より睡眠が必要な子にとっては、幼稚園帰宅後にお昼寝を取る必要が出てきますが、
    帰宅後に3時間も寝ていたら、あっという間に夕食の時間・・・
    お遊びやお稽古事に割く時間など、全く余裕がありません。

    ですから、出来る限り早く入眠することが大事になってきます。

  • 子供たちの輝かしい未来のために。
  • 睡眠だけで、何もかもが上手くいく訳ではない、けれど!

    一昔前には、「早寝早起き」を成人が実践するだけで、
    あんなメリットもこんなメリットあって、人生全て上手くいきます!、なんて話がされていました。
    これにはパワーストーンもびっくり。(笑)
    睡眠時間だけで、人生が全て順風満帆、となるわけではありません。
    子供たちは、いずれ様々な壁に当たるのでしょうし、
    それを乗り越えるためにまた別の努力が必要となるでしょう。
    ただ、上記ようなの睡眠不足のリスクもまた一つの事実であり、子供たちが本来持つ能力を十全に発揮するためには、
    そうしたリスクを回避し、心身ともに健やかな成長を果たすことが重要ではないでしょうか。

    子供たちが何かに興味を持ち、そこで輝きたいと感じ、力を得るために努力を始めた時。
    より健やかで、充実した心身を獲得していることが何よりの助けになるのではないでしょうか。
    そのように考えると、睡眠について親が指導してあげる事は、子供たちに対する最高の贈り物の一つではないでしょうか。

    寝ない子は「個性」もある、けれど!

    ショートスリーパーという特性を持つ人がいる、というのはかなり昔から知られています。
    また、そこまでいかなくとも、成人では必要とする睡眠量に結構なばらつきがあることが最近の研究で分かってきています。
    ですから、もちろん子供たちにも、そうした個性は多少なりあるかと思います。
    しかし、私たち成人が実際に自身の個性を正確に把握できる時というのは、
    「出来る努力をほとんど行って、それでも改善されない時」ではないでしょうか。
    アロマを焚いてみたり、寝具を変えてみたり、習慣を変えてみたり・・・それでも、どうしても変わらない時。
    こうした努力を、子供たちはまだ自分自身では行えませんし、未就園児に至っては「する必要性」も持ちません。
    その一方で、起きていたい(まだ寝たくない)理由はたくさん転がっているのです。テレビ、おもちゃ、スマホ・・・好奇心をそそられるものがたくさん!
    ですから、子供が起きていたいとぐずったり、なかなか寝付いてくれないのは、ある種自然な事です。
    ただそれが身体的な個性かどうかは、やはり慎重になるべきだと考えます。

    もしその子が実は睡眠を多く必要とする個性だった場合、
    その睡眠不足の悪影響はリカバリーが難しいものばかりです。

    今回のまとめ

    いかがでしたでしょうか。
    こうして考えてみると、ねんねについて考え、頑張ることが想像以上に大切な事だと感じて頂けたのではないでしょうか。
    次回は、私たちがご提案する「ゴールデンタイムを意識した生活リズム」について、詳しく解説して参ります。
    それでは、次回もぜひお楽しみに!
    以上、「基礎編①:ねんねを頑張るワケ」でしたー!